今日は、お正月に向けた諸々の買い物をしに、銀座へ行ってきました。ファッションビルの中の一部の店舗では、な、な、なんと!福袋をフライングゲット!できるようになっていました。早すぎ

お正月の初売りでは、よく見かける「福袋」ですが、実は、福袋を売るにあたっても法律が問題になります。

一つは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(いわゆる独占禁止法)。市場の独占が起きたり、価格カルテルが行われたり、不当な取引制限が行われると、市場における適正な競争がなされなくなってしまうことから、これらの行為を未然に防止するために、独占禁止法では「不公正な取引方法」を禁止しています。具体的にどのような取引方法が「不公正な取引方法」に当たるのかは、公正取引当委員会(公取)が指定します。

公取が「不公正な取引方法」と指定している行為の一つに「抱き合わせ販売」というものがあります。抱き合わせ販売と言えば、品薄で発売日に大行列ができるようなドラクエのソフトと在庫ソフトを組み合わせて、それぞれの定価の合計額で売られたようなケースが思い出されます。福袋も、実態としては複数の商品をまとめて販売するので「抱き合わせ販売」に該当するのではないか検討すべき事例もありそうです。
また、消費者保護のための法律である、不当景品類及び不当表示防止法(いわゆる「景表法」)も問題になってきます。福袋の中身のうちどれか一つが欲しいがために福袋を買ってしまうようなことが想定される場合、福袋に入っている商品のうち欲しいもの以外は「景品」(おまけ)に該当するとして、一般懸賞における景品類の最高額及び総額の制限を受ける可能性があります。つまり、(歳がばれますが)ビックリマンチョコには何らかシールが付いていましたね。そのシールは、景表法との関係では、無料ではなく「何円」と価格がつけられその金額の景品が付いていると評価されているのです。

まあ、組み合わせた商品の合計価格以下で販売する形(値引)であれば、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」であるので景品表示法における景品類には該当しませんが、例えば、福袋用に普段売っていない商品を作って入れる場合(価格がちゃんとあるのか分からないような場合)、その商品は「景品」と評価される可能性があります。この場合景品の額は、いくらでもよいのではなく、おまけは
10万円まで、かつ売上予定総額の2%までといった、最高額と総額の制限があるのです。消費者目線でいえば、そもそもそれって「景品」なの?とも思える話ですが、理屈の上では「景品」といえてしまい話が複雑になってきます。

福袋も「抱き合わせ販売」に該当しないよう、また「おまけ」に関する制限に違反しないよう、組み合わせる商品や値段等を考える必要があるのです。ここは色々なケースがありすぎて、きちんと書こうとすると連載せざるを得なくなるのでこのへんで(もしどうしても知りたい方は個別にご連絡ください、笑)。
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 写真は、シンガポールのマリーナベイサンズ