ここ1年ほど最近テレビや雑誌などで取り上げられたこともあり、クラウドファンディング(直訳すると「大衆からの資金調達」ですが、ベンチャー企業などが、比較的小口の資金を多数の投資家から集める手法の一つです。)が注目されているようになってきていました。世界でのクラウドファンディングを用いた資金調達額は、2012 年で26.7 億ドル、2013年(予測)で51 億ドル、 地域別(2012 年)では、北米16 億ドル、欧州9 億ドル、アジア0.3 億ドルとされています(Crowd Sourcing LLC作成のCrowdfunding Industry Report)。

金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」(以下「WG」)においても、技術やアイディアを事業化する段階でのリスクマネー供給を強化するため、投資型クラウドファンディングの制度化について議論がなされてきました。

クラウドファンディングには、

① Equity-based(エクイティ型)

② Lending-based(貸付型)

③ Reward-based(物品購入型)

④ Donation-based(寄付型)

の4つのタイプがあり(前記Crowdfunding Industry Report)、金融庁は、このうちの①を「投資型」クラウドファンディングと扱っているようです(第4回WG資料2-2参考資料2頁参照)。

さらに、「投資型」クラウドファンディングとしては、(1)仲介者を介して、事業者が発行する株式を購入する場合(以下「株式型」)と、(2)投資家と事業者との間で匿名組合契約を締結し、出資を行う場合(以下「匿名組合型」)を挙げています。


これまで、日本ではクラウドファンディングといえば、Reward-based(物品購入型)が主流となっていました。Reward-based(物品購入型)のクラウドファンディングでは、投資額に応じて、投資先の会社の数種の物品を購入することができる、さらには口数が多数の場合、製品発表会に招待してもらえるなどの特典が付いたりすることもあります。製品のファンを増やしていく形です。


他方で、これまで「投資型」クラウドファンディングが増えなかった理由の大きなものの一つは、やはり株式の発行等に関する金融商品取引法の業規制です。

すなわち、(1)株式型の場合は、第三者が新規発行株式の取得勧誘を行うときは、第一種金融商品取引業登録が必要とされており、(2)匿名組合型の場合は、第三者が匿名組合契約持分(契約当事者の地位)の取得勧誘を行うときは、第二種金融商品取引業が必要とされています。第一種金融商品取引業者は資本金5000万円、第二種金融商品取引業者は資本金1000万円、また各部門に知識と経験を有するものをそろえるなどの人的要件(もちろん第一種金融商品取引業の方がこの要件も高い水準となります。)などの参入要件が課されています。

これに加え、第一種金融商品取引業者(いわゆる証券会社。第一種金融商品取引業者であっても、有価証券関連デリバティブ取引等以外の店頭デリバティブ取引等のみを業として行う者は除かれます。)全社が加入することとされている日本証券業協会(以下「日証協」)規則では、構成員である証券会社が、「非上場株式」の募集等の取扱いを行うことが原則として禁止されています。


この点に関し、「仲介者にとって参入が容易な制度とする観点から、株式型・ファンド型それぞれに特例を設け、財産要件等を緩和することが考えられるのではないか」との問題提起があり、金融審議会事務局によりなされた提案が今回の「投資型クラウドファンディングの制度化について」です。

制度の説明や、協会加入、開示規制等々については、いろいろと気になる点もあるのですが、それは後編ということで…。